ライオンキングと劇団四季

 

 ブロードウェイで大ヒットの「ライオンキング」をかいま知る印象は、ディズニーの製作チームに四季が加わっているのではないかと思えてしまうのものでした。もちろんティモアの斬新なアイデアによる快挙であることに違いありませんが、トライアウトの東京公演が大成功して、ニューヨーク公演が保証されたような妄想すら持ちたくなってしまいます。もちろんディズニーからノウハウの供与を受けた四季が、ライオンキングの東京公演を成功させているのです。しかしティモアは四季のライオンキングが完成した時に、これこそ自分が意図したものに最も近い出来具合だと思ったに違いありません。

 劇団四季に敬服するのは、絶対に飛びつけないような柳の枝に、ついには飛びついてしまう蛙のようなところにあります。観る者に感動を呼び起こす舞台を創り上げるには、愚直なまでに努力を積み重ねるしかないことを示しています。この作品で重要な役どころであるヒヒの呪術師ラフィキに抜擢された女優は、四季の俳優の" あるべき姿 "に精進していたからでしょう。演じる努力は子育てに似て、「それを過不足なく」が肝要です。もてる能力を十二分に伸ばす必要がありますし、頑張らせ過ぎて潰してしまったら万事休すです。自分で自分を育てる孤独な努力なのでしょう。

 「ソング&ダンス」の中で 「影万里江は四季の女優はかくあるべしを示した」と紹介されていましたが、 ラフィキに抜擢された女優は「四季の俳優はかくあるべしを示している」と言えましょう。顔も出さずに頑張っているゾウやハエエナ役などの俳優たちが後に続いています。ひたすらワラジを編んでいてもいつかは篭に乗れる日が来ると信じることが出来るのでしょう。こういう劇団四季が総力をあげて、全面展開していると感じさせてくれるのがライオンキングなのです。 見応えがあって心に残る作品だと思います。

 

 

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