渡し舟婚と消滅願望

 

 

 なにかと話題になるあの"コギャルちゃん"たちは、世の大人たちが決めつけているほど考え無しではありません。思いのほか情況も将来も見つめていて、あの行状は承知の上のものなのです。高校を卒業して就職する先は、どんな風かは見当がついていますから、高望みはしません。また結婚についても、どの程度の相手と一緒になるかは承知しています。だからこそ今の青春が人生の最高と思い、悔いを残さないよう充分に謳歌しようとしているのです。アムロちゃんが妊娠結婚したことは、そのあたりを如実に物語っています。あのアムロがと思うかもしれませんが、努力と幸運で得た最高峰が仮初めのものであることを知ってるのです。ともに青春を謳歌するという意味では同じなのです。

 日本人はみな中流意識を持っているとマスコミなどで喧伝されていますが、あのコギャルちゃんたちは、どんなに頑張っても中流には手が届かないことを小さな頃から知らされているのです。戦後教育の弊害で、教育勅語を教え無いから分限をわきまえないという指摘がありますが、それは中流に手が届いたと勘違いした者たちにその傾向がみられるのでしょう。たしかに学校教育に問題な部分があるようで、誰にも機会は均等であり、目標を高くもって努力すれば希望はかなうという"建て前"は社会に出た途端にそうでないことを知らされます。ちょっと前に注目を浴びた女性総合職は、頑張っても"ガラス天井"に上昇を抑さえされて、その魅力も色あせてしまいました。終身雇用制も危うくなり、そもそも会社そのものが定年退職まで存在していてくれるかも心配の昨今です。

 若い男性は就職して、ある程度の収入を得られるようになっていないと、一人前ではなく結婚も出来ないと思い込まされています。最近は、結婚ができないのは親の所為であると家の中で暴れている例もありますが、少なくとも表面的にはすんなりと諦めています。 そして、男子乳幼児の死亡率が減少したのがその理由ばかりとは思えないほど、40才前後の独身男性が増えてるよう目につきます。ところが、若い女性は"娘時代"の快適な生活を忘れることができずに、引き続きその生活が享受できる相手と結婚したいと思っているようです。コギャルちゃんたちだって気持ちは同じですが、"白馬の王子さま"なんていないと知っているのです。もし、いたとしても自分のところへは、来てくれるはずの無いことを知っているのです。

 さらに最近の困った傾向として、その若い女性たちが結婚を意識して、恋愛をしなければと考えたり、お見合いをしようかと考えるようになってから、不安神経症の患者さんに負けないほどの不安に苛まれるのです。さらに困ったことには、チルチル・ミチルの"青い鳥"であったり、"ネズミの嫁入り"であって欲しいのですが、白馬の王子症候群に似た"無いものねだり"をするのです。王子さまに来て欲しい、でも来てくれるはずが無いという気持ちに揺れ続け、そして驚いたことには、ついには死んでしまいたい気持ちになるのです。狂言とは思えない自殺未遂を企図するのです。死なずに済んだのも偶然としか思えないほどのことを企てます。好みの舟がやって来ないなら、生きていても仕方ないと思ってしまうようです。待てば海路にも、日和があることを知って欲しいと思います。 

 

 

 

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