「美人の実証研究」(その2)

 

 

 コンピューター・デートという面白い実験(実験1)があります。コピューターがふさわしい相手を選んでくれるという触れ込みで、集団お見合いの希望者を男女が同数となるよう募ります。応募した男女の容姿を密かに評定しておき、ダンスパーティー会場では単に男性が女性より背が高くなるようにしただけで、デタラメな組み合わせでカップルを決めてしまいます。 パーティーの終了後にはアンケート用紙が配られ、好意度とデート希望が調査されます。4〜6ヶ月後に追跡調査をして、パーティーでのパートナーと実際にどれだけデートをしたカップルがあったかを調べます。

 その結果として、外見的に魅力ある男女はともにデートを申し込まれていましたが、外見的に魅力のない男女は何れもパートナーの外見的魅力を低く評価し、デートには応じていません。外見的に魅力ある男女同士はデートをしていますが、女性は希望しただけで、男性の方から申し込んでいます。ここに「ビューティー・イズ・グッド(美しいことは良いことだ)」ということが実証されるわけですが、さらに同年輩の人の写真を見せて、写真の人物の人柄や将来の人生を推測させますと、魅力的な容姿をもつ男女は「好ましい性格で、将来は社会的に高い地位につき結婚相手に恵まれ、幸福な生活を送る」と予想されました。

 しかし、結婚後に良い親になれるか否かの推測結果に容姿の差はみられませんでした。外見的な魅力度が高いと親切にされやすく、さらに模擬裁判では美人犯の刑罰は軽くなる傾向がみられました。美しい女性と交際していると(妻にしていると)、その男性は社会的に高い評価を受けることになるので、美しい女性は「男の勲章」効果といわれています。「美しい人はよい人柄である」という固定観念があることが実証され、ステレオタイプ(紋切り型)典型例の一つといわれています。年齢ごとの子どもに同年齢の子どもの写真をみせて評価させても、同様の結果が得られます。可愛い子は悪戯しても悪い評価は受けず、3〜6才の幼児同士でも外見の良い子は親切で乱暴ではないと思われています。

 小学校教諭の素行評価という実験(実験2)は、首都圏の小学校で実施されたものですが、三年生の女児の外見が素行の評価にどう影響するかというものです。頭髪を整え微笑んだ顔(外見良条件)と頭髪を乱し頬や額を汚し口元を引き締めた顔(外見悪条件)そして通知表も素行の悪い内容と良い内容を用意します。外見が良く通知表も良いと良い評価をうけ、外見が悪く通知表も悪いと悪い評価をうけます。しかし、外見が良いと通知表が悪くてもさほど悪い評価はうけず、外見が悪いと通知表が良くてもあまり良い評価にはなりません。

 外見が良いと道徳的にもよい振る舞いをすると評価され、それは在職年数にも差はなく、新任教師もベテラン教師も同様な評価をしました。公立と私立の大学付属小学校の入学試験の面接で、子どもに有名一流ブランドの洋服を着せた場合とそうでない場合にも差が出ます。男の子は短い半ズボンとジャケットで、女の子はジャンパースカートとボレロの組み合わせにして、ベーシックにすっきりまとめて利発さ元気さをアピールするのが合格するポイントという結果が出ました。しかし、公立校と公開実験の場合には結果が顕著とならず、私立校で非公開実験の場合には顕著な結果が得られたということです。

 テレビで「水戸黄門」をみても、ひとめで“善人顔”と“悪人顔”の区別がつきますので私たちには、そういった願望があるのかも知れません。

 

  

 

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