健康寿命と女性就業率(1)
      

 

 日本人の平均寿命は世界最長寿で、100歳以上の高齢者は5万5000人弱です。うち女性が80%を超えています。気になるのは寿命の男女差ですが、日本の女性は87歳で1位です。

 2位スペインの85歳を大きく引き離していますが、男性は80歳で8位です。平均寿命の長い国ほど男女間の寿命差は広がる傾向にありますが、それでも日本の7歳差はかなりな差です。そして日本人男女の寿命差はこのところ、ほぼ7歳差で変わっていないようです。

 なぜ日本は男女の寿命差が大きいのでしょうか。妊娠や出産などのリスクを抱えている女性が長生きするには、栄養や保健の充実が前提です。そのうえで要因として考えられているのは、喫煙や飲酒率の差、危険な業務への就業率、健康に対する意識の違いや自殺率などです。

 社会的な男女格差の影響については、女性の社会進出を示す指標に「世界男女格差ジェンダーギャップ報告」があります。政治・経済・教育・健康の4分野における男女差を数値化したものですが、日本は調査対象136ヵ国中105位と最低です。残念ながら女性の社会進出は遅れていると、白日の下に晒されたわけです。

 24歳から54歳までの日本女性の就業率は70%弱ですが、それに対し男女格差が少ないスウェーデンなど北欧諸国の就業率は80%を超えています。そこから男女の寿命差を見てみますと、アイスランドは3歳差(女性84歳、男性81歳)、スウェーデンが4歳差(84歳、80歳)いずれも日本より差がないことが分かります。この調査から見ますと、日本女性の長寿世界一は「先進国の中で、日本女性の社会進出が遅れていたから」と言えなくもありません。

 いまや「男性は外で働き、女性は家庭を守る」という慣習が過去のものとなりつつあります。増えつつある低所得階層の人たちは、女性が働いても貧困とは無縁でいられないからです。政府も女性の社会進出をその目玉にしようとしていますが、保育所問題など働く環境の整備を不十分なままに推し進めようとしています。育児や介護を女性に押し付けたままの社会進出が進めば、当然のように少子化は更に進むでしょう。

 非正規雇用の70%は女性が占めています。また若い女性の喫煙と飲酒の習慣が増加傾向にあります。女性の社会進出が増え、それにともなう生活スタイルの変化で、平均寿命の男女差は少なくなるでしょう。

 

 

 

 

 

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