異常化する触法少年と社会の対応

 

 長崎で発生した「少年による幼児投げ落とし殺害事件」など、低年齢とはいえ快楽犯罪とみなされる事件が続発しています。異常であり凶悪であっても、加害者は少年であるために刑事処分の対象にはなりません。  

 児童相談所に保護され、家庭裁判所で審理され、児童自立支援施設に送致され、そして「寮舎システム」で法務教官夫婦の養子のように生活します。 教官夫婦が触法少年を自分の家庭に招き入れ、家族の暖かみを味あわせようとするものです。

 第二次大戦後に多くの戦災孤児が浮浪児となり、生きるために非行虞犯を重ねていた時代に、GHQ進駐軍総指令部の指導の下でフラナガン神父の「少年の町」をモデルにして寮舎は設置され、NHK のラジオ劇「鐘の鳴る丘」で広く知られました。しかし昨今の触法少年の様態変化に、こういう牧歌的なシステムは現状に適応しなくなっているように思います。

 専門教育を受けて経験豊富な法務教官であっても、異常化し凶悪化している現状では、幼児を持つ教官夫婦が幼児殺人を犯した少年を不安なく受け入れることは難しいと思います。しかも施設内で職員が入所児童に撲殺されたり刺殺される事件が起こります。その予防措置として隔離処遇できることになっていますが、そうした機能を有する施設は殆どありません。

 しかし、児童自立支援施設に隔離施設を併設するよりも、医療少年院に移送して治療的処遇を可能とする道を拡げるべきでしょう。より高度な専門的処遇でないと、対応できないと思うからです。

 最近の思春期が早発する傾向は、性ホルモンの亢進に精神の成長が追いつきません。性と暴力情報が氾濫する環境下で小児性愛などの異常性欲が攻撃欲動を誘発します。異常な衝動を抱えた少年が、些細な切掛けで犯罪者となります。異常性愛犯罪が重大事件に発展するのを予防するために、小児へのワイセツ行為や下着窃盗などが連続する地域には、直ちに専門の捜査チームが動き出す情報システムの設置と、それに協力できる犯罪精神医学者と心理学者の養成が急務であろうと考えます。 

 

 

  

 

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