バリ・インペリアル・ビラの可愛いヤモリ

 

 

 バリ・ングラ・ライ国際空港に到着したのはすでに夜でしたが、機中で入国書類の作成サービスに気付かず入国手続きに手間取り、ホテルの出迎えと会えたのは夜遅くになってからでした。しかし、ホテルへの道筋の町クタとレギャンは世界中のサーファーや若者観光客がたむろしているようで、縁日の夜店か遊園地のような賑わいでした。

 バリ・インペリアル・ホテルは朱色の甍で宮殿のようにそびえていました。笑顔に迎えられてロビーに入るとエアコンの涼風にむかえられましたが、バリのリゾート・ホテルが空調されているのは珍しく、これも都会並みの快適さをリゾートに求める日本人のためのものだそうです。天井のない高い屋根と壁のない家屋の構造で、自然の涼風が室内を流れぬけるだけで十分と考えるバリの人たちに、欧米人たちは郷に入れば郷に従えとばかりに納得しているのでしょうか。彼らはリゾートに"非日常"を求めるものと、考えがはっきりしているのでしょう。

 ホテルのビラはバリの昔の村落を模してあり、石畳の通路沿いに石塀に囲まれた家屋が並んでいるのだそうです。石の門の扉を閉めてしまえばプライバシーは完全に完全に保てるので心配ないとガイドブックに説明されています。しかし心配なのは、夜寝る時に蚊や蛾などの昆虫から"プライバシー?"が保てるどうかなのです。ホテルに勤務する知人は、バリに暮して5年になるので体質が変わったのか、喰われなくなったようなので蚊が気にならないと言います。たしかに蚊にくわれると発赤して痒みを感じる機序は花粉症などのアレルギーと同じものですから、夏にしか蚊に喰われない日本では免疫は出来にくいでしょう。ところが一年中が高温多湿であるバリでは一年中頻繁に蚊に喰われるでしょうから、容易に免疫ができることに納得できます。殺虫剤をまいて寝てしまえばという乱暴な提案に納得できず、ベッドに蚊帳は付いていないのかと尋ねましたが返答は得られませんでした。蚊にそれほど神経質になる必要はないと言いたげでした。

 確かめもしないで不要な心配をしていたことが、ビラに案内されて解りました。このホテル独特なものなのか知れませんが、建物は壁はあり窓もあり快適に空調されていました。藁屋根で天井がないので内側の竹組みが見え、日本のアマガエルのように鮮やかな黄緑色で可愛らしい数センチのヤモリがその竹組み間をチチチと小声で鳴きながら這いずっています。バリには多種のヤモリがいて鳴くのは二種だそうですが、アマガエルのように高音で鳴く種とトノサマガエルのように低音で鳴く種のようです。ヤモリは富と幸運をその家にもたらすと信じられていて、屋内を這いずりまわるのも歓迎され大切にされているそうです。日本のヤモリの待遇とは大違いです。

 
 
 
 
 
 
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